株式会社ベクターデザインは、7月28日に国立競技場で行われたサッカー国際競技の現地実況音声配信向けにAmazon IVSを活用した超低遅延配信システムを構築しました。

従来、スタジアム来場者が現地で実況解説を聞きながら試合観戦を行う仕組みは、FM/AMラジオ受信機を活用して実現されていましたが、今回、大手通信事業者が開発した音声XRと新型ヘッドフォンの実証実験のため、ラジオ受信機では実現できない高音質(192kbps)の音声を多チャンネル(ステレオ6種類配信)を多人数に配信する必要があったため、従来のラジオではなくIPを活用したストリーミングを選択しました。

一般的なIPストリーミングでは数秒の遅れ(ラグ)が発生します。 現地以外のテレビやPCで視聴する場合はラグは気になりませんが、現地では観客がゴールの瞬間などを目にした瞬間に実況されないと体験の質が下がってしまいます。

それらの課題に対応するため、弊社では、AWSの提供するAmazon IVSリアルタイムストリーミングを活用することで、概ね300ms(0.3秒)以下の超低遅延での音声配信を実現しました。

Amazon IVS」とは、世界中の視聴者が低レイテンシーまたはリアルタイムの動画を利用できるようにするマネージド型ライブストリーミングソリューションで、同社の配信サービス「Twitch」でも活用されています。

弊社ではAmazon IVSを実装するにあたり、配信PC、受信スマートフォン双方ともウェブアプリとすることで、特殊なネットワーク機材や受信機材を必要とせず配信することを可能としました。

今回は音声をメインとした配信を行いましたが、Amazon IVSは1080pまでの映像の配信などにも対応しています。

本システムを活用することにより、低コストで超低遅延の映像、音声配信システムを低コストかつ手軽に構築することが可能となり、試合やイベントの体験の質を向上することが可能になりました。

テスト用スマートフォン

また、弊社では防災や防犯で使われる監視カメラのOnvifやRTSPを変換するゲートウェイを開発中です。 河川の状況などを低遅延のリアルタイムで多人数に配信することが可能になるだけでなく、AIを活用した異常検知や水位観測など様々なシステムを構築することが可能になります。

株式会社ベクターデザインはAWS認定パートナーです。